超HAPPY大作戦!

文系出身SEの苦労話とか、資格勉強方法とか、モーニング娘。とか

ITサービスマネージャ試験 ~練習論文②~

こんにちは。

今回は、ITサービスマネージャ試験の練習用論文をもう一つ紹介したいと思います。
前回のものよりも質が低いですし、字数がそもそも足りているのか…というレベルなのですが、練習でこんなもんしか書けなかったのが受かったんだ!というみなさんの自信につながってくれればと思います(笑)

今回の題材は、平成26年試験の「ITサービスの移行について」です。
問題、講評等についてはこちらからどうぞ。

例にもれず、事実4割程度です。

1.移行対象として携わったITサービスの概要と移行実施計画の重要な考慮点
1.1 移行対象として携わったITサービスの概要

 私は、プラント企業であるT社において、ERPシステムの運用保守チームのリーダを担っている。今回、人事給与システムのパッケージ製品のサポートが切れるタイミングで、新たなパッケージの選定・導入を行うこととなったため、その移行作業について述べる。人事給与業務は、主にパッケージ製品を利用している。加えて、スクラッチで、パッケージ製品から会計システムへの人事データの連携、給与の仕訳データ作成・会計システムへの連携などを処理している。また、スクラッチの勤怠システムから超過勤務時間などの、給与に影響あるデータをcsvファイル取り込みをしており、パッケージ製品ー他システム間で相互にデータ連携を行っている。約2,000名のデータを管理しており、当該システムが停止すると、従業員の給与が誤っている・振り込めない、会計システムのマスタデータが更新されず会計システムが利用できなくなり、支払・入金処理ができなくなるなど、影響は非常に大きい。

1.2 移行実施計画策定時に洗い出した重要な考慮点

 今回の移行実施計画に当たって、特に重要と考え、洗い出した考慮点は、①移行後のパッケージ製品ー他システム間の連携データに問題がないことを確実にすることと②移行作業に問題が発生した場合に切り戻しができることである。前述の通り当該システムは企業の重要なデータを扱っており、他システムへデータ連携を行っている。また、新パッケージは既存パッケージとデータ構造が大きく異っているため、移行後の連携データに問題ないことを確認する必要がある。移行作業自体は小規模であり、難しい作業は少ないが、上記2点について対応策を検討していった。

2.考慮点について決定した対応策と、決定理由、工夫した点について
2.1 考慮点について関係者と協議し、決定した対応策

 先に述べた考慮点①「移行後のパッケージ製品ー他システム間の連携データに問題がないことを確実にすること」について、移行方法として、並行稼働を採用することとした。人事給与システムを利用する総務人事部と協議の上、移行後は現行パッケージと新パッケージの両システムにデータをエントリし、連携データの突合を行い、想定外の差異がないことを確認することとした。また、本番環境で作成された連携データを検証環境に取り込み、正常に連携されることを事前に確認することとした。
 また、考慮点②「移行作業に問題が発生した場合に切り戻しができること」については、切り戻しの作業手順書を確立し、切り戻しのリハーサルをすることとなった。

2.2 対応策を決定した理由

 対応策を決定した理由は以下の通りである。
 考慮点①については、パッケージ製品ということで、仕様がブラックボックス化され、問題が生じた際に、すぐに対応できない可能性があった。また、ユーザテストを行っていたが、運用業務で発生する業務ケースを完全に網羅できていたわけではないため、実運用後に問題が発生する可能性はあった。問題が生じても、業務を停止することはできない。そのため、ユーザの業務負荷が高まることを了承してもらった上で、並行稼働するべきであると判断した。
 また、考慮点②については、移行作業自体は小規模であるが、上記考慮点①でも記載の通り、移行に問題が発生した場合も業務を停止させることはできないため、確実な切り戻しができるようにした。

2.3 対応策が確実に実施されるための工夫

 考慮点①の工夫については、現行パッケージと新パッケージの両システムにデータをエントリすることから、業務負荷が高まり、データの突合作業をやりきれない可能性がユーザから挙げられていた。そこで、私は突合作業の負荷を下げるためのツールを用意すべきと判断した。具体的には、比較対象データを取得するスクリプト、データ突合用のExcelマクロを提供し、比較的簡単に、ミスなく突合作業ができるツールを用意することにした。さらに、いざ使おうとした際に、ツールの使用に手間がかかっては意味がないと考え、ユーザテスト時に突合用のツール検証をしてもらった。
 また、考慮点②については、切り戻し後の動作検証手順をユーザ観点からもレビューをしてもらうこととした。なぜならば、情報システム部では把握していない業務があると考えられるためである。

3. 移行実施後のレビュー結果とその活用について
3.1 移行実施後のレビュー結果

 今回の、現行パッケージと新パッケージの並行稼働による移行は問題なく、円滑に実施することができた。また、切り戻し手順のユーザレビューを実施し、切り戻しリハーサルも問題なく実施することができた。
 レビューでは、並行稼働により、ユーザの業務負荷が高まる点について、ツールの提供により負荷低減を図った点は評価された。しかし、ユーザから指摘を受ける前に能動的に提供ができていればなお良いという結果であった。

3.2 レビュー結果の活用

 今回のレビュー結果より、移行時には次のことを検討することとなった。①移行のリスクをユーザ視点で検討することと②移行時の動作確認手順をユーザレビューすることである。
 ①について、我々はリスク検討時にシステム側の影響ばかりに意識をとられがちである。システム側のリスク回避によって、ユーザ業務に影響が出てはならない。そのため、移行計画書に記載する『移行リスク』にはシステム側とユーザ側の両方の観点を記載することとした。このことにより、移行に伴うユーザ観点のリスクを事前に把握し、対応策を検討することができるようになった。
 また、②について、移行を確実、かつ円滑に実施することはITサービスマネジメントの中でも、極めて重要であると考える。なぜならば、移行作業は不確実要素が多く、小規模な移行作業であっても、少なからずリスクを抱えるためである。今回の経験をナレッジとして蓄積し、今後の移行作業のリスクを減らしていく。

ー以上ー